おわり
ネズミのと・も・子はフランスいち幸せ者。
パリから遠くの雪国にホストファザーのピエールとホストマザーのクロードと住んでいます。
正確には、住んでいました。
フランスでの語学留学を終えることを決めました。
理由はコロナウイルス。
日本に一時帰国した時に感じたのはフランスにいると・も・子はそれだけでハンディキャップだということ。自分の身を守ることができません。
と・も・子が一時帰国したとき、日本での感染者数がフランスのそれを上回っていました。ホームステイ先のピエールとクロードに万が一でも移してしまっては大変、とフランスに再入国したとき、2週間ホテルで暮しました。
学校にも留学エージェントにも相談しましたがが、心配しすぎという評価でした。
これがたった3週間前。
でも、二人は高齢で持病もちです。
と・も・子が感染するのであればまだいい。でもと・も・子がホームステイ先に持ち込んで、高齢の二人に感染させて亡くなった、ということが起こってしまっては、どうやっても取り返しがつかない。
ホテル暮らしはと・も・子の自己満足だったかもしれません。
でもホテル暮らし中にフランス国内での状況は日々悪化。世界中で入国制限が始まりました。
ピエールも友達も語学学校も他人。頼るところはない。
それにと・も・子は外国人。保険でお金の心配はしなくてもいいけど、病院へのアクセスや治療、管理などはとてもとても不利。
リスクしかありません。
このような公衆衛生上の理由から帰国を決断。
今学期が終わるまで、という区切りではなく銀行口座を閉じたりなどの事務手続きが過ぎたら、可及的速やかに。
ホテル暮らし中にホームステイ先に戻ってはせっかくの隔離の意味がなくなってしまいますので、それが終わったらすぐ。
ホテル暮らし終了後2日でフランスを出ました。
この次の日、アメリカが欧州からの入国を制限。
さらに数日後、フランスが閉鎖。
自分の身に起こったかもしれないことが恐ろしくてなりません。
残して来た十二支仲間もとても心配。
日本にいても安心はできないでしょうけれども、幸いにも医療の保証はまだあります。医療関係者の方々が必死に日本の医療を守っているおかげです。
緊急的な終了で語学留学を振り返る時間はありませんでした。
これから時間をかけて語学留学の意味づけをするでしょう。
皆さま、留学中支えてくれてありがとうございます。たくさんの温かい言葉をかけていただいてどれだけ支えになったかわかりません。
帰国の決断をさせてくださった方々、命の恩人です。
おおおおお!
ネズミのと・も・子はフランスいち幸せ者。
パリから遠くの雪国にホストファザーのピエールとホストマザーのクロードと住んでいます。
いよいよ一時帰国の日。
空港で飛行機を待っていて気づきました。
おおおおお!
フランス語のアナウンスが聞き取れてるぅぅぅぅ!
わおわおわおぉおお!
うほほほ〜すげえ!
そして、思った。
クセのあるフランス語の発音も聞き取れてる気がする。というかこちらは全く抵抗がない。
英語ではいわゆる英語を母国語としない人の聞き取りが苦手です。
多分、フランスの方が話すフランスの○○地方の言葉は聞き取れない。
でも。フランス語を母国語としない方が話すフランス語だと何だか...ああ日常なり。
これ語学学校で勉強している強みなり。
十二支仲間の国籍はアジア各国、ロシア語圏、スペイン語圏、英語圏などなど。フランス語を話すとき、いつまで経っても母国語のクセが抜けないのです。
お陰さまで苦手意識は全くない。
むしろちょっと聞き取りのコツも見える気がする。聴き慣れているアクセント!
この嬉しさの反面、自分の英語の発音はややフランス語よりになっているのも実感。悲しい。単語もちょっと忘れてる。
フランス語にもたついている時に「英語でどうぞ」と言われても、咄嗟には話せなくなっている自分。
昔は言えた。日本語と英語しかなかったから。日本語を話さなければ知っている英語を話すしかなかったから。
これは、喜んでいいのか?
と・も・子、専門店に行く7
一時帰国を明日に控えて、今日はお土産購入の日です。
チョコレートを無事に買い、次は数ヶ月、心に秘めていたものを買いましょう。
それは!チーズ。
これはぜひ家族に食べさせたい。おそらく、いやむしろ、と・も・子一家はチーズが好きでしょう。しかも割とどんな風味のものでも食べられるでしょう。
割と臭いもの好きかもしれません!
そしてここ雪国名物のチーズはクセが強め。好きなはず!
入念に調査をしました。
まずは数日前にお店に行き、いつ買いにくれば良いかを聞きました。
結果、ぜひ前日に来てください、と。チーズはその時の食べごろというものがあるらしい。
で、前日。
つまり今日。
と・も・子:こんにちは。雪国名物のチーズはこれですか?
お姉さん:はい。そのチーズでしたら2種類あります。
と・も・子:どう違いますか?
お姉さん:こちらはそのまま食べる用、こちらが調理するとより美味しく食べられる用です。
と・も・子:おおお!そのまま食べられる用で。
お姉さん:固いのがいいですか?クリームがいいですか?
と・も・子:クリームゥゥゥゥウ?日本に持っていくのですが...?
お姉さん:なーん!それなら絶対固い方。信じて!絶対に信じて!本当だから!!
と・も・子:おお!それなら!あとはこれとこれ。お姉さんのおすすめありますか?ちょっと変わり種とか。
お姉さん:そしたら、これ。ハーブ入りです。あとはこれ、とっても香り高くってまた違ったチーズの一面ですね。
と・も・子:じゃそれください。
お姉さん:このチーズ、よく包んでおきますね。真空にするので少々お待ちください。
何と、と・も・子が日本に持っていくことを覚えていてくれて、持ち運びできるように真空パックにしてくれました。チーズの名前も書いておきましたよ、と。
ありがとうございます。
こちらもプロ。
そうそうチーズも食べごろってあったんだ。
しかもみんなチーズ屋のお姉さんを頼りにしてるんですね。
と・も・子が感動している隣りでは、ご婦人が「今日の夕飯」で食べる用のチーズをご注文。贅沢だな〜
クロードォォォォォ!2
正午過ぎ、学校から帰るとクロードの寝室に女性が。
どうもこの方が主治医らしい。
主治医即決。
病院行き決定。
フランスは時間を要してもいいと判断される場合、主治医の指示のもと、自分で検査屋に行きます。その結果を待って、再度主治医の診察を受けます。
血液検査屋、レントゲン屋、エコー屋...独立分業制とでもいうのでしょうか。
日本のクリニックでも診察室の隣にレントゲン室があったりするのですが、こちらは診察室のみ。
日本の総合病院のように検査結果を一時間ほど待ち、その検査結果を踏まえて、診断、投薬、処方などが全部1日のうちに終わることはないようです。
それがこの工程をスキップして病院直行。
まずは主治医さま、ありがとう。
そして手配が速い。
救急車呼ぶのでそれで行ってね!だって階段降りられないでしょう。
その通り!
一時間後、救急車が来ました。
男性2人でアパートの4階分を力技で下ろします。
で、クロードだけ病院に向かいます。
とととと?ピエールは一緒に行かないの?日本だと付き添いとか...何かあったとき、さ?
いつ終わるか分からないので行かないらしい。
何かあったら連絡来るさ、だって。
まあ、確かに。
怪我くらいで騒ぐなよ、ってことか!クロードも暇つぶしの本持って行ったくらいだし。
クロードは骨折していました。
次の日からは訪問看護師が定期的に来るようです。クロードもその目的がわかっていて、固定したばっかりなので、足の循環を見に来てくれるのよ、ですって。
人間って強いんですね!
クロードォォォォォ!
ネズミのと・も・子はフランスいち幸せ者。
パリから遠くの雪国にホストファザーのピエールとホストマザーのクロードと住んでいます。
夕方、帰宅するとピエールが何やら試行錯誤しています。
杖の高さを調節しているのです。
と・も・子:何してるんですか?
ピエール:上手く行かない。一番低い高さにしたい。
と・も・子:何で?
ピエール:クロードが怪我したのおおおおお!
と・も・子:いつ?
ピエール:一時間前!
と・も・子:えええ!!!今どこ?
ピエール:寝室。
わああああ!
クロードの足首が曲がってる!
これ、杖を使っても歩いちゃダメな感じがするぅ!
しかも反対の足が結構広く擦りむいてる...
クロードは日中、孫の面倒を見ていました。孫のお見送りのために荷物をもって階段を下りました。そして階段で転びました。必死の思いで階段を登って自室までたどり着きました。
さて...
と・も・子:あなたは病院に行かない?
クロード:明日。行くというか主治医に往診頼む。
と・も・子:このまま明日まで待つの?痛くないの?
クロード:だって今行ったら緊急枠なんだもん。待つもの。痛いから痛み止め飲んでるよ。あと冷やしてる。捻挫かな。骨折じゃないと思う。
医者じゃないけど、捻挫ではないと思うよ。
医者じゃないけど、最低で骨折だと思うよ。
医者じゃないけど、全然シンプルな怪我ではないと思うよ。
なんだこのサバイバル感。
ここフランス。先進国。戦争してないよ。そこは遠慮しなくていいんじゃない?何で急に主張せずに順番守っちゃうのよ。
フランスの方って痛みに強いの?自分の体が絶対に元通りになるって自信あるの?どうなっちゃうんだろうとか不安ないの?
日本なら救急車を呼ぶ人絶対にいる。素人判断でもこれは呼んでも理解されると思う。だって足が曲がってるんだもん!
そして夕食後。
クロードは足を冷やしながらテレビを観ています。
と・も・子なら痛みで寝込むと思う。
と・も・子、専門店に行く6
もうそろそろ一時帰国の日。
というか明日は一時帰国の日。
ずーっと前からお土産の調査をしていました。
最初に除外したのはワイン。
まあ確かに美味しいけど、日本でもお金を出せば飲める。それにお店で温度やらグラスやら全部を管理していただいた方が多分美味しい。
十二支仲間のおすすめはチョコレート。
まあ、そうだよな。普通に美味しいもんな。嫌いな人いないしな。
というわけでまずはこれ。
こちらでブイブイ言わせているチョコレート屋さんで買いましょう。
と・も・子:こんにちは。日本にお土産で持っていくチョコレート下さい。
お姉さん:こんにちは。あら!お土産ですね。どう言った感じに?詰め合わせですか?それとも何か決めていますか?
と・も・子:うーん...詰め合わせでお願いします。
お姉さん:好きなものありますか?
と・も・子:あ〜この赤い包みのやつ好きです!
お姉さん:じゃあ、まず2個。そしたら、形の崩れないものを入れますね。アルコール入ってもよろしいですか?
と・も・子:はい。
お姉さん:プラリネ入ってるのお好きですか?
と・も・子:はい。
お姉さん:コーヒー風味も入れますね。
と・も・子:はい。
お姉さん:あとは、先日のバレンタインの残りのチョコレートも限定であります。
と・も・子:はい。
お姉さん:お会計あちらです。
と・も・子:はい。
...プ、プラリネって何さ?切っても切っても再生する生き物みたいじゃないの。
コーヒーとチョコレートって違うの?違うのか?違うか...!
しかもバレンタインの「残り」って言った??うん、言ってた。
色々と情報処理が追いつかなかった。
そのままホワイトチョコレートとアーモンドミルクで作ったチョコレートの違いを説明してくれたのですが...
ホワイトチョコレートってそもそも何ですか。あ、あーもんどみるく??
でもとっても良くしてくれるのが分かりました。
と・も・子がこの赤い包みのチョコレート好きって言ったのを覚えてくれて、最後にそのチョコレートをおまけでいただきました。
よどみなく話せるというのもプロを感じさせると思う。
ありがとうございます。
このチョコレートを渡すとき、語らせていただきます。
フランス語学習19
delf対策授業にて。
delfとはフランス語の試験のこと。
聞き取り、文章理解、文章作成、面接の大きく分けて4つの構成からなる試験です。
もちろんその人によって得意な分野とそうでない分野があります。
と・も・子は文章作成では比較的良い点数が取れます。理由は簡単。
嘘八百、事実捏造・歪曲、誇張表現、これらを躊躇無く多用しているからです。
人格が歪んでるのではないかと思うくらいに書き上げます。
フランスに来た時のことを感情を踏まえて友達にメールしなさい。
ヤッホー!元気?
ついにフランスにいます!到着してからずっと雨が降ってます。だからどこの観光地にもまだ行っていません。夏に遊びに来たときは案内しますよ。どこに行きたいですか?
雨でありませんように。
だって近くに海があるんです!晴れてたらどんなにいい景色でしょう。海で散歩してアイスクリーム食べましょう。
雨だけど、私は幸せなう。
あばよ&キッス
と・も・子
と・も・子が書くとしたらこんな感じ。
実際はカラっからの晴天。真っ赤に日焼けするくらい。水不足になるくらい。よって、到着後数日で雪国のランドマーク的観光名所に行きましたとさ。そしてここ、海はないです!山しかないです。散歩してアイスクリーム、なんという平和。やったことない。
で、新学期のdelf対策授業で。
先週に宿題として提出した文章作成の添削が返ってきました。
そして聞こえて来る先生と十二支仲間のやりとり。
リック先生:直すところないんだけど。
十二支仲間:難しかった。
リック先生:誰書いた?
十二支仲間:嫁。
リック先生:フランス人だよね。うん、見たらわかる。
十二支仲間:だって難しかったんだ。
んんんんんんなにやってんだ?!宿題の意味わかってるのか。ただ提出することが目的ではない。試験当日も嫁が答案書くのか?
で、リック先生先生が別の十二支仲間へアドバイス。
辞書の単語を使うのもいいけど、使い慣れてる単語の方が安全だよ!
それを聞いて、あの人も辞書使ってるじゃん!と呟いている。
割とリック先生の指摘が気に入らない様子。
んんんんんんなに言ってるんだ?!
むしろ何でだ?
あなたは全部フランス人の嫁にやらせて、宿題を提出するということだけが目的。
反面、あちら様は宿題に使う単語がわからなかったからそれを調べて使った結果、間違ってた。でも間違ったことはわかったし、そうしなくても良い方法を知ることができた。
何て当たり前のことなんだ!